ホワイトデーSS ~二人の約束 byコハルノート
三月を待っていたかのように、春一番が吹いた。季節を運ぶ風は強く、服装も髪型も吟味しないと大変なことになる。 コハルノートの扉の前で、私は鏡を取り出して、前髪をチェックした。案の上ボサボサだ。手櫛で整えてからドアを開けると、私よりも先に風が入っていった。...
バレンタインSS inコハルノート byコハルノートへおかえり
「こんにちはー!」 バレンタインデー当日。勢いよくコハルノートの扉を開くと、カウンターの中にいた樹さんが接客の笑みをすっと消した。 「もっと静かに入ってこれないのか、梅子?」 「サリュ、コウメ! 彼女の魅力の一つは、元気じゃないか」...
バレンタインSS~紗綾の場合 byコハルノート
「紗綾っ!」 待ち合わせ場所で本を広げていた私は、すぐに顔を上げた。そこに小梅ちゃんが飛び込んでくる。 いきなりのハグに、思わず私はよろめいた。 「久しぶり! 会いたかったよぉっ!」 肩から顔を上げた小梅ちゃんは満面の笑顔だ。もう、かわいい。許す。...
既刊情報
『コハルノートへおかえり』1・2巻 名前と猪突猛進の性格にコンプレックスを抱える女子高生の小梅。ある土砂降りの日、親友の紗綾(さや)との喧嘩で最悪な気分の小梅を救ってくれたのは、優しい香りをまとう男性だった。澄礼(すみれ)と名乗る彼に導かれた先は、ハーブとアロマのお店、コハ...